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『異邦人』|クロマチックハーモニカ演奏(やさしいアドリブアレンジ)
✨ Echoes from Another Life?
初心者の生徒さんとともに吹く「異邦人」
この演奏に取り組むきっかけは、初心者の生徒さんがふと吹いてくれた短いフレーズでした。
「異邦人を吹けるようにしたいです!」と、すでに覚えたフレーズの音がGメジャー(♯1つ)だったので、「その調でいこう」と決めました。最初から自分で吹けることで、生徒さん自身にも達成感があって、「いいな!」と思いました。ところが....
「異邦人」はAメロはGメジャーで進められますが、Bメロに入ると突然Eメジャー(♯4つ)に転調します。これは初心者にとって大きな壁です。でも、その部分も丁寧にフレーズを区切り、音を簡略化したり、穴番号を一緒に確認したりしながら、本人のペースでじっくり取り組めるようにすることにしました。練習がとても丁寧なので、きっと吹けるようになると思います。
演奏の中には、練習フレーズとしても使えるような、おしゃれっぽいアドリブパートも盛り込みました。😃まだ譜面はできていません。「こんな感じどう?」と吹いて見せたものと、実際に吹いたものがちょっと違ってしまったなあ……と後から気づいたのですが、繰り返しの中で音感やリズム感を育ててもらえるよう、楽しさと学びが一緒になるように臨機応変に工夫しています。
自分への課題は四角い吹き穴のマウスピースと“音の間”

写真は今ではお馴染みの丸穴のマウスピース CREMONA
今回は自分への課題として、クレモナの「四角い吹き穴のマウスピース」のハーモニカを使って動画を撮ってみようでした。音がはっきり出る反面、ベンドや細かなニュアンスの操作が難しい。穴が広いから純粋にパッカー奏法で演奏するとやや尖らせた唇が引っかかる。乾くなどありますが、広い分隣の音に行きやすい。広い分余計な音を拾いやすい....がうまくできません。うーん.....
Super64Xで表現できていたような微細な音作りがまだできないなあ、と感じました。
特に前ベンドを多用すると、音がはっきりする分、音の立ち上がりが早くなりそうでテンポが前のめりにならないようにならないようにを意識しなくてはなりませんでした。そのため、「このハーモニカではベンドは使わない?」「クラシックやタンブロック中心の曲に向いているかもしれないかなあ」なんて浮かんでは消え😀。
もちろん、四角い吹き穴でも十分に練習すればよくできるようになりますが、自分の“ハーモニカの音の間”や“呼吸”を大事にした表現には、もう少し慣れるまでは丸穴のマウスピースを使うべきだと感じています。意識しなくてもできるように頑張ろう☺️
ただ、アドリブ部分では、四角穴でもまったく問題は感じませんでした。むしろ、自由に動けるからこそ、マウスピースの違いは問題ないかな?“自分の音”を出せたかなあと思いました。それから私は、わりと装飾音符を使うのが好きですので、混じる音はそれで良いのですが、落とし穴のマンホールはまだまだおっとっと💦となります。
「異邦人」が引き出す心の風景😌
日常生活の中では、穏やかな時間が流れているように見えても、心の奥には常にさまざまな感情が揺れ動いています。
「異邦人」を吹いているうちに、そのメロディからそういった“心と現実のズレ”がふっと浮かび上がってきました。
「異邦人」という言葉の本来の意味は「異なる国の人」、つまり“自分の国ではない場所にいる人”...ストレンジャーです。
動画を撮るにあたり、何度も同じフレーズを練習していると、この曲の中での「異邦人」は、むしろ“自分の心と日常生活での楽しい人との関わりの中での『私はさまよう異邦人』を感じた”のでした。
最後のエンディングでは、「カルメンの戯曲のような旋律」をバックにそっと加えてみました。演奏の終わりに、舞台の幕が静かに降りるような感覚。どこか非日常的な、もう一つの世界がちらりと顔を覗かせるような…そんな余韻を。
最後に 宋代の詩人・李觏(り こう)が書いた『郷思』という詩の冒頭の一節を.....
ちょっと真面目っちくな〆を😚🍺....
人言落日是天涯,望極天涯不見家。
已恨碧山相阻隔,碧山還被暮雲遮。
【訳】
人は言う、夕日は天涯だと。だがどれだけ天涯を眺めても、故郷は見えない。
碧(青)い山に遮られ、さらに暮雲までもがその山を覆い隠してしまう。
望遠も遮られる故郷への切ない想い。
人は皆、太陽の沈む彼方を天涯と呼ぶ。けれどどれほど瞳を凝らしても、故郷の姿は見えない。どんなに帰りたくても帰ることはできないあの頃。
故郷とは、幼き日の午後の光の残像に過ぎない。そして我々の後半生は、その幻影を探し続ける復刻作業なのだと心に刻みます。
心の旅の異邦人って妄想でした😸笑
HITOCO