クロマチックハーモニカの音の配置とスライドの使い方 ― 12調の「ドレミ」まで
今回は、クロマチックハーモニカの音の配置とスライドの使い方、そして12調の「ドレミ」について以前執筆したものを修正しての投稿です。
穴と音の配置を見てみましょう
クロマチックハーモニカは、同じ穴でも、吹くときと吸うときで違う音が出ます。
一般的なモデルの音域は、12穴が約3オクターブ、16穴が約4オクターブです。
下の図は、16穴・C調の基本的な音の配置を表しています。※12穴・C調の基本的な音の配置はこちらの記事にあります。
- 青い矢印 ↑:吹く音
- 赤い矢印 ↓:吸う音
- 上段:スライドを押さないとき
- 下段:スライドを押したとき
まずは図を見ながら、1番から4番の穴を確かめてみてください。
吹く音は「ド・ミ・ソ・ド」、吸う音は「レ・ファ・ラ・シ」です。
低いドから順番に吹くと、次のようになります。
1番:ド↑・レ↓ → 2番:ミ↑・ファ↓ → 3番:ソ↑・ラ↓ → 4番:シ↓・ド↑
「吹く・吸う」を繰り返しますが、最後のシとドは「吸う・吹く」の順になるのがポイントです。
※機種によって、最高音付近などの配列が異なる場合があります。
スライドを押すと、半音上がります
通常のクロマチックハーモニカでは、スライドレバーを押すと、同じ穴・同じ息の方向のままで、音が半音上がります。
たとえば、
- ド → ド♯
- レ → レ♯
- ファ → ファ♯
ここで覚えておきたいのが、ミとファ、シとドは、もともと半音の間隔だということです。
そのため、ミを半音上げるとファ、シを半音上げるとひとつ上のドと同じ高さになります。
名前が違っても、同じ高さの音があります
図の中には、「ド♯(レ♭)」のように、ひとつの音に2つの名前が書かれています。
♯は半音上げる記号、♭は半音下げる記号です。
ドを半音上げた「ド♯」と、レを半音下げた「レ♭」は、平均律では同じ高さの音になります。このような音を異名同音といいます。
| 音の名前 | 同じ高さになる音 |
|---|---|
| ド♯ | レ♭ |
| レ♯ | ミ♭ |
| ファ♯ | ソ♭ |
| ソ♯ | ラ♭ |
| ラ♯ | シ♭ |
ピアノでは、それぞれ同じ黒鍵に当たります。ハーモニカでも、同じ音の出し方で演奏できます。
ただし、楽譜では調や和音の中での役割に応じて名前を使い分けます。
最初は「同じ高さの音にも、違う名前があるんだな」とわかれば大丈夫です。
どの調にも「ドレミ」があります
私が理解するうえで大切だったのは、音の名前と、音の並び方を分けて考えることでした。
いつもの「ドレミファソラシド」は、Cメジャーの音階です。
この音階の間隔は、
全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音
となっています。全音は、半音2つ分です。
この間隔を保ったまま出発する音を変えると、別の調のメジャースケールになります。
たとえば、Gメジャーなら、
ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ
B♭メジャーなら、
シ♭・ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ・シ♭
音の名前は違っても、音同士の間隔は同じです。だから、どちらにも「ドレミファソラシド」と共通する響きがあります。
調の中心となる音(長調の主音)を「ド」として歌う方法を、移動ドといいます。
「その調のド」が、いつもハーモニカの「ド」の位置にあるわけではない。ここを分けて考えると、私には整理しやすくなりました。
12調のメジャースケール一覧
下の表は、それぞれの調で実際に出す音を、カタカナで並べたものです。
一度に全部覚えようとせず、練習している曲の調から確かめてみてください。
| 調(キー) | 音の並び |
|---|---|
| Cメジャー | ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド |
| D♭メジャー | レ♭・ミ♭・ファ・ソ♭・ラ♭・シ♭・ド・レ♭ |
| Dメジャー | レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド♯・レ |
| E♭メジャー | ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド・レ・ミ♭ |
| Eメジャー | ミ・ファ♯・ソ♯・ラ・シ・ド♯・レ♯・ミ |
| Fメジャー | ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ・ファ |
| F♯メジャー | ファ♯・ソ♯・ラ♯・シ・ド♯・レ♯・ミ♯・ファ♯ |
| Gメジャー | ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ |
| A♭メジャー | ラ♭・シ♭・ド・レ♭・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭ |
| Aメジャー | ラ・シ・ド♯・レ・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ |
| B♭メジャー | シ♭・ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ・シ♭ |
| Bメジャー | シ・ド♯・レ♯・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ♯・シ |
※F♯メジャーの「ミ♯」は、ファと同じ高さの音です。音階の中では、音の並びの役割を示すために「ミ♯」と書きます。
調にも、異名同音があります
音だけでなく、調にも名前が違って同じ響きになる組み合わせがあります。
代表的なのは、次の3組です。
| ♯で表す調 | 同じ響きになる♭の調 |
|---|---|
| C♯メジャー(♯7個) | D♭メジャー(♭5個) |
| F♯メジャー(♯6個) | G♭メジャー(♭6個) |
| Bメジャー(♯5個) | C♭メジャー(♭7個) |
上の12調の一覧では、重複を避けるため、それぞれ片方の名前を使っています。
少しずつ、音と結びつけながら
文字だけで考えると難しく感じても、図を見ながら音を出すと、少しずつつながってくることがあります。
まずは、いつものドレミ。次に、スライドを押したときの音。そして、今練習している曲の調へ。
私も、わからないことをひとつずつ整理しながら学んできました。この図と文章が、どなたかの「そういうことだったのか」につながればうれしいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
わかりにくかったところは、気軽にコメントしてくださいね。
HITOCO.


