1.アルゼンチンの情熱のハーモニカ/ウーゴ・ディアスを語るにあたり...

現在私はハーモニカの仲間,同じリード楽器のアコーディオンあるいはバンドネオンの様にハーモニカを吹くことにとても興味を持ち研究しています。アルゼンチンの情熱のハーモニカを語るにあたり、一言では語り尽くせないのでこれから何回かに分けてこれを特集しようと思います。

 

アルゼンチンといえばハーモニカ奏者ウーゴ・ディアス。きっと今までにも多くのハーモニカファンがあっと驚いてきたと思うのですが、彼はフォルクローレ,タンゴのジャンルで活躍した伝統的ハーモニカ奏者です。彼の情熱的なサウンドを聞いたことがありますか?ハーモニカをパカッと大きな口で加え、大半がタングブロックのオクターブ奏法です。タンクブロックはオクターブを吹く時使わない音は舌で穴を塞ぎ音を出します。彼の音はアコーディオンのような音になります。トゥーツ・シールマンスとは全く違った音使いです。私の知っている慣れ親しんできた師である徳永先生のハーモニカの音はトゥーツに近いのです。

 

さてここにYouTubeから皆様のよくご存知のラ・クンパルシータ (どうもウーゴの映像は見つからない)でこちらの動画を載せておきます。もう一つはあまり馴染みのある曲ではないかもしれませんが、短くてウーゴの特徴がわかる演奏ですが、これぞウーゴ・ディアスのハーモニカです。

とてもエキゾチックです。

アコーディオンを意識して書いてみましょう。音を出すために蛇腹を伸縮させることで上手にメロディーをつくりますが、ウーゴの場合は体そのものがアコーディオンの蛇腹に当たる。私はそう解釈しております。なので音の抑揚が出ますがウーゴそのものは蛇腹のように身体を動かすわけではありません。それには息の使い方、目に見えない身体の使い方がおおいに関わってきている。

タングブロックをすると言う点ではクラシック奏者の吹き方と同じですが、これにさらにパッカー奏法が混じってきます。それ以外にもいろいろあります。

彼の音楽を聴いていると単なるクラシックと言う表現には収まらないと思いオクターブ奏法はアコーディオン(バンドネオン)奏法と言うべきではないかと考えてしまったほどです。なぜかと言うとオクターブ奏法とはまた違うからです。

全てをアコーディオンのフェイクとはいいません。アコーディオンのような演奏法に加え色々な奏法を組み合わせてアコーディオンとはまた違う魅力を引き出しています。

蛇腹に注目したかったためのアコーディオン

 

クラシック奏者の奏でる美しい音色は粒が揃っていますがそれに対し、ウーゴの演奏は激しく音に抑揚をつけ、ロマンチックに切なく、時に乱暴にさえき聞こえる吹き方で奏でます。いっぺんに多くを書く事はできませんがタンゴは踊りがあり演奏が発展した経緯があるし演奏もそうなるのでしょう。アルゼンチンのハーモニカは大変このアコーディオン或いはバンドネオンの音に似ています。

でもアコーディオンと違って人間がハーモニカのツールを使い音を奏でるので、荒々しい息遣いや咳込み、ちょっとした声、唾液の飛ぶ音なども演奏の中には入ってきます。

こういった音が耳障りになる事もあります。私が初めてウーゴの演奏をCDで聞いた時、そう思いました。でもその時にはこの演奏がオクターブで吹かれているなんて知らなかったのです。なんとも不思議な音。ハーモニカの種類でこのような音になるのだろうと思ったのでした。

余談ですがウーゴといえばChrometta(クロメッタ)を使用していたとよく聞きますが、演奏を聴くと録音されたもののどれがクロメッタでどれがクロメッタでなかったかに悩んでしまいます。実際自分自身が今検討しております。Chrometta14で検討中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし私にはとても感情を表現するにはもってこいではないか?と思うのです。タンゴのような情熱的な音楽にはあの演奏がぴったりだったでしょう。感情を表現、或いは吐き出すかのように!

私のコンセプトの中にハーモニカは感情表現が個々でしやすいもので、心身ともに’ハーモニカを吹く’がとても良いものであると考えているからです。(注.だからと言ってウーゴのような演奏を目指そうよといってるわけではありません。(^_^;))

コロナ禍の今、より一層感じる次第です。

 

さて今日はこの辺でおしまいにいたします。

最後まで読んで下さりありがとうございます。😊

 

この後の予定

Argentine のハーモニカ奏者,アコーディオン奏法と言いたい訳,呼吸法,タンゴとハーモニカ,etc.に関しての記事を予定しております。

現在、伝承的アルゼンチンのハーモニカ奏者 Santiago Alvares氏からもこういったアルゼンチンのハーモニカについて教えていただく事で、ウーゴの演奏の中にまた今まで気づかなかった点も見えてきました。彼には大変感謝しております。そしてこの記事を書くにあたり協力してくださる皆様方、本当にどうもありがとうございます。いつも感謝しております。

 

HITOCO

 

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